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自作乾燥ブース 製作編

自作乾燥ブース 模型用ツール
自作乾燥ブース
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この記事の要点

・プラモデル用乾燥ブースをカラーボックスで自作
・ファンレス構成で静音かつ収納としても使える
・材料・寸法・製作手順を具体的に解説
・模型塗装の乾燥効率を大きく改善できる

記事が長いので 製作編 と 評価編 の2つに別れています。

自作乾燥ブースの概要

今回製作した乾燥ブースは、1段タイプのカラーボックスをベースに、ヒーターと断熱材を追加したシンプルな構成のプラモデル用乾燥ブースです。

自作乾燥ブース 構造図
赤い面がヒーター、太線が給排気口
自作乾燥ブース 実際に設置したところ
自作乾燥ブースを実際に設置したところ

構成要素は最小限ですが、ヒーターと給排気口の配置を工夫することで、

  • 塗料の乾燥に適した40℃前後の温度を安定して得られる
  • 必要最小限の換気量で溶剤の滞留を防げる
  • ファンレス構成のためほぼ無音

と、模型用としては十分に実用的な性能を持たせることができました。

また、ベースにカラーボックスをそのまま使用しているため、乾燥ブースとして使っていない時は作業中のパーツや塗装クリップ類を収納するスペースとしても活用できます。
専用機を常設する場合と比べ、作業スペースを圧迫しにくい点もこの構成の特徴です。

自作乾燥ブースの収納力
乾燥ブースの中はもちろん、上部も収納スペースとして利用可能

以降では、使用する部材と寸法、具体的な製作手順を順に紹介していきます。

注意事項

  1. 自己責任での実施
    ここで紹介している手法を実践する際は、全て自己責任で行ってください。
    実施に伴う怪我、損害、事故等については一切の責任を負いかねます。
  2. 安全対策の徹底
    電気工作やDIYには危険が伴います。必ず適切な安全装備を着用し、適切な作業環境で行ってください。
    特に電気に関わる作業は、感電や火災のリスクがあるため、十分な注意が必要です。

必要な材料

基本的な乾燥ブース本体を作るために必要な材料の一覧です。
総額 4〜6千円 くらいで揃えられます。
※後述するオプション分の材料は含んでいないのでご注意ください。

No.名称仕様概算価格
1ヒーターマット1段カラーボックス背面に外付け
20W品 42 x 28cm
¥2,000〜¥3,000
2カラーボックス1段タイプ 横幅42cm、高さ30cm程度¥1,000〜¥2,000
3プラダン内壁断熱+前面扉用
2.5mm厚
91cm × 182cm なら1枚
35cm × 50cm なら5枚
¥200〜¥500
4アルミホイル一般的なキッチン用のもの¥100
5アルミテープ40mm幅 2m以上¥100
6両面テープあれば耐熱品¥100〜¥600

1. ヒーターマット
 本来は爬虫類等の飼育に使用するものを流用します。
 20W品は42 x 28cmとなっており、1段カラーボックスとほぼ同サイズなのがメリットです。

補足

このヒーターマット、ほぼ同じような製品なのに微妙に異なるもの、がいろいろと存在しています。
プラグ形状が日本向けではないものもあるので、よく確認してから購入するようにしてください。
ちなみに「20W」という表記になっていますが、実測したところ45W程度消費していました。

2. カラーボックス
 1段タイプであれば同じ製品でなくても大丈夫です。
 ヒーターマットが42 x 28cmなので、横幅42cm、高さ30cm程度のものを選んでください。
 とはいえヒーターマットはカラーボックスの外側から取り付けるので、横幅が41.5cmでも大丈夫です。

3. プラダン
 2.5mm厚のものを使用します。
 ネット通販よりもホームセンターもしくは100円ショップでの購入がオススメです。
 91cm × 182cm サイズのものなら1枚で充分で価格も安いのですが、持ち帰りが大変。
 100円ショップで売っている35cm × 50cm サイズのものなら5枚必要です。

4. アルミホイル
 一般的なキッチン用のもので大丈夫です。

5. アルミテープ
 40〜60mm幅のものを2m程度用意してください。
 これも100円ショップのものがオススメです。

6. 両面テープ
 基本的にはこちらも一般的なもので大丈夫です。幅は5mm〜1cmが使いやすいかと。
 耐熱品だと尚良し、ですが、必須ではありません。

製作手順

実際の作業手順とは異なりますが、やることを大雑把に説明すると、

  • カラーボックスの背面板の代わりにヒーターマットを取り付ける
  • カラーボックスの内側を断熱する
  • 正面扉を作る
  • 吸気口、排気口を設ける

だけです。
難しそうに見えるかも知れませんが、実際の作業は非常にかんたんなものばかりです。

それでは具体的な手順を見ていきましょう。

① 排気口の加工

カラーボックスの天面板に排気用の開口を設けます。
初手からこの製作で一番たいへんな部分です。
逆に言うと、この穴さえ開けてしまえば後はかんたんな作業のみです。

  • 開口の大きさ
     横方向:5cm
     奥行き方向:3cm
  • カラーボックス背面から2.5cmあける
  • 左右方向は中心に合わせる
自作乾燥ブース 排気口位置

※すべての図はわかりやすさを優先し、縮尺は合わせていませんので注意してください。

自作乾燥ブース 排気口

実際に穴を開けたところ。
穴の下側にある溝は背面板を取り付ける部分です。背面寄りに開けるのが正しいので、前後を間違えないよう注意してください。

余談

この作業には 別記事で紹介している超音波カッター を使ってみました。
ドリルで下穴→ノコギリ という方法に比べると直角がキレイに出せるのがメリットです。
ただ、ご覧の通り木材が焦げますし、カットできる深さ的にもほぼ上限に近いです。
こういう作業には、ノコギリの刃が入れられるだけの長さを超音波カッターで切り、残りはノコギリで切る、という使い方が良さそうです。

② カラーボックスの組み立て

カラーボックスを組み立てます。
基本的にはカラーボックスの説明書通りですが、前述のとおり背面板は取り付けないようにしてください。(天面、底面、左右側面、の計4枚だけを組み立てる)

③ヒーターマット取り付け部の加工

ヒーターマットはボックス外側の背面から貼り付けますが、ヒーターの制御部(電源コードが出ているところ)が出っ張っていて邪魔なため、ボックス側を切り欠いておきます。

実際にヒーターマットをボックスに当ててみて、該当位置に鉛筆などで印を付け、切り欠きます。

自作乾燥ブース ヒーター制御部の切り欠き

④内壁の断熱処理

ボックスの内壁にプラダン+アルミホイルを貼って断熱処理を行います。
貼る場所は、天面、床面、左右側面の4面のみです。(下図 赤の部分)

自作乾燥ブース 断熱材の配置

具体的な配置ですが、
・天面は左右側面の上に載せる
・底面は左右側面の内側に収める
と全体の収まりが良くなります。

④-1 プラダンをカットする

プラダンは内寸ぴったりで作ってしまうと反ったりして良くないので、各辺の内寸よりも1〜2mm程度小さめにするとうまくいきます。

さらに、左右側面の高さ方向は、天面を上に載せる分を考慮してプラダン1枚分の厚み(2.5mm)も引いて3.5〜4.5mm小さく。
同様に、底面の左右方向はプラダン2枚分の厚み(5mm)を引いて6〜7mm小さく。
天面は内寸から1〜2mm小さくするだけでOKです。

プラダンの筋目は、天面は長い方向に、側面は縦方向にしてください。
床面はどちらでも影響ありません。

側面の一方、ヒーター制御部がある方には、ボックスの切り欠きに合わせてプラダンも切り欠いてください。

4面分を切り出せたら仮組みし、無理なく収まることを確認しておきます。

④-2 アルミホイルを貼る

4面分のプラダン全てにアルミホイルを貼ります。
ホイル1枚では幅が足りない場合は2枚並べて貼ります。

  1. プラダンよりも5cm程長めにホイルをカットする(同じ物を2枚)
  2. カットしたホイルの光沢面を下に向けて置き、2〜3cm程度重ねて並べる
  3. 並べて置いたホイルの上にプラダンを置く。
    この時、プラダンの上下左右にホイルが2cm程度はみ出した状態にする。はみ出しが長すぎる場合はホイルをカット。
  4. はみ出しているホイルを折り返す。
  5. ホイルがずれないように気をつけながらプラダンを裏返す。
  6. ホイルの継ぎ目にアルミテープを貼る。テープは裏側まで回り込むようにしてください。

ホイルには出来るだけシワが入らないように気をつけます。
なお、ホイルが破れてしまった場合はアルミテープで補修すればOKです。

これで断熱板の完成です。

④-3 断熱板の貼り付け

ボックスに断熱板を貼り付けます。
両面テープで貼り付けるだけですが、あまりガチガチに固定する必要はありません。
天面・側面が落ちて来なければ充分です。
底面は置いておくだけでも大丈夫です。

以上で断熱処理は完了です。

自作乾燥ブース 内部

⑤ヒーターマットの取り付け

これも両面テープで貼り付けるだけですが、断熱板と違って出来るだけしっかりと固定します。
ボックス背面側の端面全周に両面テープで貼りつけます。
出来れば耐熱性両面テープを使った方が良いです。

⑥前面扉の作成

自作乾燥ブース 前面扉完成イメージ

前面扉はプラダンで作ります。
この扉には給気口も設けます。

1. プラダンをボックス外形と同サイズで切り出す。

2. 吸気口(2箇所)を開ける
 横方向:4cm
 高さ方向:2cm
 プラダン下端から3cm、側端から9cmあける

自作乾燥ブース 吸気口位置

3. アルミホイルを2枚、カットします。
 断熱板とは異なり、プラダンからのはみ出しは5mm以内程度にします。

4. プラダンをホイルで覆い、ホイルの継ぎ目にアルミテープを貼るところまでは断熱板と同じ手順で進めてください。

5. プラダンの端面(全周)にアルミテープを縁取りするように貼ります。これによってアルミホイルを固定すると同時に保護して破れにくくします。

6. 給気口のアルミホイルをカットし、端面と同様にアルミテープで縁取りします。

7. 出来上がった前面扉をボックス本体に取り付けます。
 開閉がラクにできるよう、下辺をガムテープのような幅広のテープ類で固定します。
 上辺も天板に対してテープで貼るのが手っ取り早いです。

 私は少しこだわって簡易ヒンジとマグネットキャッチで作成しています。
 詳しくは次のオプションの項で。

以上で製作は完了です。

自作乾燥ブース 完成

オプション

簡易ヒンジ

かんたんな加工でプラダンを簡易ヒンジにできます。

自作乾燥ブース 簡易ヒンジ完成図

1. プラダンを20 × 6 cm程度にカット(筋目は長手方向)

2. カットしたプラダンの中央3列くらいの片面を剥ぎ取ります。
 分かりにくいと思いますので図で補足します。
 下図はプラダンを真横から見たところです。

自作乾燥ブース 簡易ヒンジ断面

 赤い線の箇所をカットします。
 縦の線を切るときは下まで切らないように気をつけてください。
 縦が切れたら図の下方向に左右を折り曲げて「コの字」状にすると横の線が切りやすくなります。(下の画像、一番左の状態)

自作乾燥ブース 簡易ヒンジ加工

画像中央は横の線をカットした後の状態。
画像右はカット後に曲げ方向を逆にしたところ。
この状態でボックスの下面と前面扉に両面テープで貼り付けます。

マグネットキャッチ

前面扉の固定用にマグネットキャッチを作ります。
ボックス天面板の前側にマグネットシート(100円ショップで購入)をカットしたものを、前面扉内側に スチールプレート を貼ります。

ヒーターマット裏の断熱

ヒーターマット裏側(ボックス背面側)から熱が逃げてしまっているような気がするので、ここも断熱しました。
ヒーターマットの後ろ側に
 空気層(5mm以上)
 アルミホイル
 プラダン
という順番になるように各部材を貼っていく、という構造です。

  1. ヒーターマット外周(透明な部分のみ。黒い部分には出来るだけかからないようにする)に1cm幅程度に切ったプラダンを2〜3枚重ね張りする
  2. ヒーターマットと同サイズにプラダンを切り出す
  3. 切り出したプラダンに、光沢面を表にしてアルミホイルを貼る
  4. アルミホイルを貼ったプラダンを、アルミホイル面をヒーターマット側に向けて1に貼り付けます

※この項目を実施する場合は100円ショップのプラダンが1枚追加で必要になります

給気口へのフィルター追加

ホコリの侵入防止用として給気口にフィルターを追加します。
(排気口は基本的に空気が入ってこないのでフィルターは不要です)

フィルターの素材としては、網戸程度の開口率のものが向いています。
私は アルミ遮熱メッシュシート の余りを使っています。(光沢面をボックス内部に向けて使用)
なお、換気扇用の不織布フィルターは開口率が低く、通気量不足になるので不適です。※実験済み

  1. フィルターを給気口よりも一回り大きく(6 × 4 cm程度)カットします
  2. 前面扉の内側(アルミホイルを貼っている側)にフィルターをアルミテープで貼り付けます

換気量はそれほど多くないので、フィルターの交換は考慮しなくても大丈夫かと思います。

使い方

この乾燥ブースの使い方はとてもシンプルです。

塗装が終わったパーツを、ペインティングスタンドごとブース内に入れ、ヒーターのスイッチを入れるだけで準備完了です。
※一般論として、予熱はしないほうが仕上がりが良くなるようです。

ファンを使っていないため、風でパーツが揺れたり、塗膜表面が荒れたりすることはありません。

自作乾燥ブース 使用例
自作乾燥ブース使用例 ペインティングスタンドをそのまま置ける

性能はどうなのか?

「作り方は分かったけど、本当に役に立つの?」
という疑問を持った方も多いでしょう。

次の 評価編 では、設計思想の解説や、温度変化の実測データを元にした各種分析(温度の立ち上がり時間、温度分布、など)を紹介していますので、続けて確認してみてください。

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