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・水転写デカールは家庭用プリンタと専用用紙で自作できる
・制作手順は「画像作成 → 印刷 → クリア保護 → 貼り付け」
・失敗を防ぐポイントはインク保護と十分な乾燥
・市販デカールがない模型でも自由にマーキングを作れる
市販デカールに欲しいマーキングが無い。
オリジナルのロゴや模様を入れたい。
そんなときに役立つのが「水転写デカールの自作」です。
家庭用プリンタと専用用紙があれば、特別な設備がなくても自宅で作ることができます。
この記事では
- 水転写デカールの自作方法
- 必要な道具
- 実際の作業手順
- 失敗しやすいポイント
を、実例付きで解説します。
水転写デカール自作に必要なもの
必須なのは次の3点だけです。
プリンタ
家庭用の安価な機種で問題ありません。
デカール用途では高価なモデルは必要ないため、エントリーモデルで十分です。
※プリンタを持っていない方向けに、こちらの記事ではプリンタの選び方を解説しています。
→ 水転写デカールはコンビニ印刷できる?の記事
デカール用紙
自作デカール専用の用紙です。
下地が「透明」と「白」の2種類がありますが、この記事では基本的に 透明デカール用紙 を使ったケースを前提に解説しています。
透明デカール用紙 は下地色が透けるため、輪郭を正確に切り抜かなくても良いので 細かい文字や複雑な形状のデザインに向いています。
その代わりに、白デザインは作れませんし、薄い色の表現にも向きません。
一方、白デカール用紙 は白デザインが作れる、繊細な色でも表現できるところがメリットですが、印刷された部分の周囲を形に沿って正確に切り抜く必要があります。
そのため、シンプルな形状のデザインには向きますが、細かい文字や複雑なロゴは難しくなります。
初めて自作する場合は 透明デカール用紙+暗色デザイン から始めるのが扱いやすいです。
保護用トップコート
デカール用紙に印刷したインクはそのままだと水で流れてしまいます。
そのため、クリアコートで保護する工程 が必要です。
その他、あると便利な工具
必須ではありませんが、以下の工具があると作業が楽になります。
- カッター、デザインナイフなど
- ピンセット
- 水容器
- ティッシュ
- 綿棒、フィニッシュマスター ←特にオススメ
- 液体のり(自作デカールには軟化成分が入っていないデカールフィクサーが向いています)
水転写デカール作成の全体の流れ
水転写デカール作成の作業は次の流れで進みます。
- デカールの元データを作る
- デカール用紙に印刷する
- クリアコートで保護する
- デカールを切り出す
- 水に浸けて貼り付ける
- トップコートで仕上げる
順番に解説していきます。
水転写デカールの作り方・貼り方
STEP1 デカールの元データを作る
自作ですので、作りたいデカールの元データは自分で用意します。
使用するソフトは、画像やシェイプの配置自由度が高く、ページ設定で用紙サイズを指定できるものが使いやすいです。私は Googleスライド を使っています。
透明デカール用紙を使う場合は下地が透けるため、色は薄めよりも濃いめの方が見えやすくなります。
また、貼り付け時の失敗に備えて、同じデザインを予備込みで複数並べておくと安心です。
STEP2 普通紙で確認→デカール用紙に印刷
いきなりデカール用紙に印刷するのではなく、まずは普通紙で試し刷りするのがおすすめです。
確認したいのは、サイズが合っているか、色味がイメージ通りか、配置や余白に問題がないかの3点です。
実際にモデルに当ててみると、少し大きい、形状を微調整したい、色が思ったより濃い、といった修正がよく出ます。
そのため、試し刷りと修正を何度か繰り返し、納得できた段階で本番のデカール用紙に印刷します。
私は HPのENVY 6020 を使っており、「光沢紙に写真をプリント – 高画質」でかなりきれいに印刷できました。
台紙の裏表を間違えないことと、印刷後はしっかり乾燥させることも重要です。
私は丸1日ほど乾燥させています。
STEP3 クリアコートで保護する
デカール用紙に印刷したインクは、水に触れると流れてしまいます。
そのため、印刷後に クリアコートで表面を保護します。
ポイントは
- 一度に厚く吹かない
- 薄く数回に分けてコートする
ことです。
しっかり乾燥させてから次の工程に進みます。
私の場合は、エアブラシを使ってラッカー系の ガイアカラー No. 007 クリアー を3倍程度に薄めたものを、いわゆる砂吹きから始めて、4〜5回重ね吹きしています。
以降の手順を動画(52秒、BGMアリ)にしましたのでまずはこちらをご覧ください。
STEP4 デカールを切り出す
4-1. 切り出し
絵柄に沿ってデザインナイフなどで切り出しますが、ポイントは2つ。
- 完全に切り離さない
台紙を完全に切らずに、台紙の厚みの半分くらいを狙って切り込みを入れます。
(半分くらい、はあくまでも目安なので、実際には3割でも7割でも大丈夫です)
手間には見えますが、実際にやってみると意外と難しくありません。
完全に切り離さないのは水の浸透を早くするため。
また、完全に切り離すと台紙がボロボロになっていきます。初めのうちは影響ないのですが、枚数が進むほど作業しにくくなります。 - 余白は少なめに
出来るだけ余白は少なくした方が見栄えが良くなりますが、あまり細かくカットするとデカール素材が破れやすくなります。ほどほどを心掛けましょう。
4-2. 台紙から剥がす
外周をカット出来たら、次は台紙から剥がします。
角の部分からデザインナイフを滑り込ませて台紙の厚み半分くらいを狙って剥がし取ります。
これもやってみると意外と簡単です。
動画にもあるとおり、台紙部分が薄すぎると剥がしている途中から表面の透明シートだけになってしまうことがあります。
この状態だと非常に貼り付けが難しくなり、ほぼ確実に失敗になります。
諦める前に、まずは他の角からもう一度剥ぎ取りなおしてください。これでリカバーできる場合もあります。
STEP5 水に浸けて貼り付け
剥ぎ取ったデカールを水に漬けます。
動画のように、スポンジなどを使うと良いです。
水に漬けて数秒(で充分です)待ったら、デカールを台紙ごと貼り付け位置の近くに置き、指か フィニッシュマスター のような柔らかいものでデカールをスライドさせます。
置いた直後は糊の溶けが不十分ですぐに動かないことがあるので、その場合は5〜10秒くらい待ってみます。(まったく動く気配が無かったデカールが、急にスッと滑り始めるような感じです)
後はピンセットなどで台紙を横に引き抜き、デカールを目的の位置に合わせてからフィニッシュマスター等で水分を吸収します。
前述の通り、キット付属品等に比べると貼り付けの難易度はかなり高いです。
最初は失敗も出やすいので、予備を多めに用意しておくと安心です。
STEP6 トップコートで仕上げる
必須ではありませんが、デカールの保護、剥がれ防止の観点からもトップコートはしたほうが良いです。
トップコートだけで余白部分の見え方がどう変わるか、というのは気になるポイントだと思うので、参考画像を。
上:デカールを貼っただけ
下:トップコート後
トップコートを吹くことで、余白は意外と目立ちにくくなります。
とはいえ、見る角度によってはフチが目立つ(光が反射して白い線として見える)こともあります。
この画像でも右下あたりのフチはハッキリ見えちゃってます。
応用編|デカールのフチをさらに目立たなくする方法
基本の手順とトップコートまででも十分実用的ですが、さらにフチを目立たなくしたい場合は、研ぎ出しで段差をなだらかにする方法があります。
以下は、その方法を試した記録です。
(今回が初挑戦だったため、途中で失敗した点も含めて記録しています)
トップコートが完全に乾いてから、今回は 神ヤス! 2000番で水研ぎを開始。
力を入れず、ほんとうに「撫でる」感覚で研いでいきます。
少し作業するたびに柔らかい布などで水を拭い、表面の状態をチェック。
削れた部分は白く濁って見えるので、削れていない箇所が分かりやすくなります。
作業途中の状態です。
赤い矢印の先(だけではありませんが)が削れていないのが良く分かるかと思います。
引き続き作業します。
不完全ですが、全体的に白く濁った状態になってきました。
もっと攻めたいところですが、この後も番手を上げて削っていくことを考慮してここで止めておきます。
続いて4000番で作業を進めて間もなく、ヤスリに赤い塗料(=デカールのインク)が付き始めてしまいました。
上の画像の段階ですでに削り過ぎだったようです。
けっこう厚めにクリアコートしたつもりだったのですが、それでも足りなかったか…。
仕方ないので4000番で研ぎ出しを終了し、再度クリアコートしたものが以下です。
分かりにくいですが…フチ自体はかなり目立たなくなりました。
その代わり、デカールの透明部分が目立つようになってしまいました。
これはクリアコート層を超えてデカール本体まで削ってしまった + 4000番までしか研ぎ出しできていない のが原因だと思います。
デカール作成での注意点(重要)
白のデカールは作れない
繰り返しになりますが、透明デカール用紙を使う場合は白のデカールは作れません。
一般的なプリンタは「白い紙に印刷する」ことを前提としているため、白は「なにも印刷しない」ことで表現しています。
透明デカール用紙の場合、「なにも印刷しない」とそこは透明になります。
また、台紙が透明なので発色はどうしても弱いですし、貼った場所の色も透けて見えます。
ですので、色は出来るだけ濃い色を使うことをオススメします。
貼る場所の色が白の場合は比較的大丈夫ですが、暗色系の場合はほとんどデカールが見えない可能性があります。
他にも、赤の場所に青のデカールだと紫に見える、といったことも起きます。
デカール自体の取り扱いが難しい
キット付属や市販品のデカールに比べるとシート自体が薄いため、貼り付け難易度はだいぶ高くなります。
失敗を前提に、同じデザインの予備を多めにレイアウトしておくことをオススメします。
軟化剤は不適
自作デカールは市販品やキット付属のデカールに比べると粘着力が弱いように感じています。
なので液体のりを使いたいところですが、シート自体が薄いため、軟化剤が入っている Mr.マークセッター などを使うとシワシワになってしまいます。
軟化成分の入っていない デカールフィクサー を使ったほうが良さそうです。
実際の作例
マチュッガイ用
マチュッガイ の瞳やピアスなどを塗装で表現するのは難しすぎるので、デカールを作ってみました。
2. キュベレイダムド用
キュベレイダムド 用のデカールの絵柄作成には画像生成AIを使ってみました。
画像生成AIでの絵柄作成については 別記事 を参照してください。
自作デカールのメリット
自作デカールの一番のメリットは 自由度の高さ です。
- 好きなロゴを入れられる
- 市販にないマーキングを作れる
- 小ロットでも作れる
模型制作の幅が大きく広がります。
まとめ
水転写デカールの自作は少し手間はかかりますが、
- 家庭用プリンタ
- デカール用紙
- トップコート
この3つがあれば自宅でも作れます。
試し刷りを繰り返しながら調整すれば、市販デカールでは作れないオリジナルのマーキングも再現できます。
模型の表現の幅が一気に広がるので、ぜひ一度試してみてください。
「自作デカール用プリンタ」の選び方はこちらの記事からどうぞ